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原丈人氏講演会を振り返って

 原丈人氏との出会いは、まいど1号の青木豊彦氏の紹介で、一緒に六麓荘に押しかけていったことに始まります。6-7年前になるでしょうか。青木氏は、原氏が主催するフォーラムで講演を頼まれたのがきっかけとなり、親しくされています。なんでも、原氏からスタンフォード大学での講演を依頼されたこともあったが先約があり、その代替えが某ノーベル賞学者だったことが自慢です。
 ご自宅には精巧な鉄道模型がいっぱい。ご尊父が趣味で創られたとか。隅々まで精巧で、芸術の域を遙かに超えたものでした。多くは横浜の原鉄道模型博物館に展示されています。

 原氏は、若い頃、考古学の研究に闘志を燃やしておられましたが、それを続けるのに資金が必要なことがわかり、スタンフォード大学でMBAを取得後、シリコンバレーでベンチャーを起業されました。輝かしい経歴は別項に譲りますが、大成功を収められ、数々の公益事業を展開されています。
 永い、米国中心の海外生活をされていますが、もっとも感動することは、日本人、それも大阪人であり続けておられることです。影響力のある日本のエリートで、ともすると、日本を卑下したアメリカ?コンプレックスになる人が多く、日本が劣っているかのごとくの誤解を招く言動をされることがしばしばあります。

 原氏が主張されている「公益資本主義」は、まさに日本の企業が地で行ってる良さから来ています。従業員を犠牲にして株主を太らせる、米国の「株主資本主義」と対比した、原氏のお話を聞くと、改めてその良さが分かるし、「三方よし(買い手、売り手、世間)」の近江商人の理念に通じるところがあります。
 近江商人といえば、本学OBの創業150年を迎えたツカキ?グループ社長の塚本喜左衛門氏がそうであり、また、原氏と親戚筋というのも世間は狭いものです。「公益資本主義」は、自利より他利を優先する五代友厚公(母校の前身の大阪商業講習所の設立者)のサムライ魂にも通じます。沙巴体育平台のミッションを改めて強く認識した次第です。学ぶところが多い講演会でした。

?平成28年10月5日
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理事長兼学長 荒川 哲男